屋上緑化実践事例・取材日記
特別養護老人ホーム・知的障害者更生施設「淀川暖気の苑」

【インタビュー内容】

小林

宜しくお願いします。屋上庭園が出来てもう3年半になりますね。久々に屋上庭園を訪問させて頂きましたが、樹木や芝生達が元気に育っているのを見て、とても安心しました。実際に使われてみて、いかがですか?

釜崎さん

淀川暖気の苑の屋上庭園

ちょっと上に行って、お話をしようかと言って、気軽に利用出来るのがいいですね。ここにいらっしゃる方々は、普段空調が整っている建物の中にいることが多くて、なかなか季節感が味わえません。新鮮な空気を思いっきり吸えるのが良いと思います。それに屋上庭園では、梅杏、ツツジ、サルスベリ、モミジなどが植えられているので、四季の変化を楽しむことも出来ますし。ご家族がこられた時の憩いの場にも良く利用されています。


小林

ちょうど、屋上庭園から新幹線が見えるんですね。

釜崎さん

お孫さんや、ひい孫さんは特に喜びますね。

小林

屋上庭園が出来る前と出来た後では、違いはありますか?

釜崎さん

出来る前の屋上は、本当に殺風景でした。雰囲気は全然違います。

小林

鳥たちも来るようになりましたね

釜崎さん

たくさんの野鳥が飛んできます。三国本町の公園から市内へ飛び立つ鳥の中継点になっています。

小林

この庭園は一般開放しているんですか?

釜崎さん

地域の方にも利用して頂いています。近くに住んでいる高齢者の方で、この屋上庭園に来て、30分のお昼寝をすることが日課になっている人もいるんですよ。芝生の匂いが安心感を与えてくれるそうです。

小林

維持管理については、ずっとボランティアの方々が行なわれてきたとお聞きしています。現在はどのように維持管理を行われているのですか?

時津さん

淀川暖気の苑の屋上庭園

15名のボランティアが3班に分かれ、上旬、中旬、下旬と順番に定期点検を行い、月4回程度雑草抜きを行っています。交代するときは、次の班へ注意点を引き継ぐノートもあるんです。植え替えなど人手がいる場合は全員で作業を行っています。我々で対応出来ないことについては「暖気の苑」を通じて、施工された造園業者の庭樹園さんに対応して頂いています。


小林

ボランティアの方々と庭樹園さんの両輪でこの庭園は成り立っているんですね。

釜崎さん

時津さんは、ほぼ毎日庭の様子を見に来て下さるんですよ。

小林

ボランティアの方々は、暖気の苑で行われていた園芸教室で学ばれていましたね。私も一度拝見させて頂きました。

時津さん

この庭園を管理することを目的に、庭園が造られるのと時を同じくして2年間「暖気・園芸教室」が開設されました。園芸コンサルタントの宮本敏夫先生にご指導を頂きました。

小林

実際に維持管理作業をされてどうですか?

時津さん

暑いさなかの作業はやはり大変ですね。自動灌水設備が入っていますが、植物を見て調整を行うようにしています。

小林

プランターで挿し木もされていますね。どう活用されているのですか?

釜崎さん

時津さん

ローズマリーやラベンダー、シバザクラなど様々な植物を増やしています。

小林

この屋上庭園の存在は、施設にとってどう位置付けられるのでしょうか?

釜崎さん

施設の設備のようなハード面というのは、どうしても時と共に古くなってしまいます。でもだからこそ、ソフトの部分が最も大事だと思います。植物や動物に触れて自然を感じたり、芝生に座りながらみんなで一緒に笑顔で話をしたり、何気ないことなんですが、普段の生活の中にこの屋上庭園はすっかり溶け込んでいますね。屋上庭園は「淀川暖気の苑」には、なくてはならない存在だと思います。

小林

とても貴重なお話をどうもありがとうございました。

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