ソラミエ Customer's Voice

ロイヤルアネックス

開放された屋上空間が、住人のコミュニティを育む。

ロイヤルアネックス  屋上ルーフガーデン

「賃貸マンションは、もっと自由に、楽しい空間になれるはず」。そう語る青木純さんがオーナーの「ロイヤルアネックス」は、東京・東池袋にある、地上13階建てのビルです。入居者に壁紙を選んでもらう「カスタムメイド賃貸」や、間取りの設計からリノベーションに参加できる「オーダーメイド賃貸」というユニークなアイデアで、いまや入居待ちの希望者が行列をなしています。今年はルーフガーデン「SoraniwA°(ソラニワ)」もオープンし、ますますワクワクするマンションに進化。これからの暮らし、コミュニティの育み方、伺いました。(2013年8月取材、文・写真:デザインジャーナリスト・神吉弘邦)

目指したのは「現代版長屋」の暮らし。

ロイヤルアネックス 代表取締役 青木純氏

――賃貸物件をカスタムメイドできるサービスを始めたきっかけはなんですか?

そもそもは空室対策なんです。賃貸マンションって普通、真っ白い壁紙だけが貼ってあって、つまらない。こっちが勝手に張り替えるんじゃなくて、お客さんが選べたらいいだろうなと思ったんです。その後、古民家再生でシェアハウスを手がけていた夏水組の坂田夏水さんに出会いました。彼女が取り組んだ『レディーメイド賃貸』は、隣接するワンルーム2部屋を繋げて1LDKタイプに改装して、話題になりました。

さらにマンション内に"シェアハウス"を作りました。3人の居住者が3LDKをシェアして暮らすタイプです。住人の皆さんがロイヤルアネックスを求めるものは、ひと言でいうと『コミュニティ』ですね。お気に入りの部屋には人を招きたくなるもの。住人同士の部屋の行き来も活発です。そうは言っても、やはり個人のお宅ですから、続けて行くのは気が引ける時もあるでしょう。

そこで、住人たちが共同で使える離れの部屋、『PLUS+(プラス)』を作りました。テレビや調理器具も自由に使える、住人みんなのリビングです。ただ、常に開放されているわけではないし、夜になったら音を出して盛り上がることも難しい。だから屋上をうまく使えないかと以前から思っていたんです。屋上では納涼ビアパーティーが毎年行われていたのですが『普段も使いたい』という要望が寄せられていました。屋上緑化ではなくて、コミュニケーションを促せるような新しいスペースが生み出せないか。東邦レオさんの仕事を知ったとき、これなら形にできそうだなと思ったんです。

用途をカッチリ決めないのが大事。

ロイヤルアネックス  屋上の人工芝でヨガ教室
ロイヤルアネックス  屋上菜園

――ルーフガーデン「SoraniwA°(ソラニワ)」は、パラソル、テーブルとスツール、ソファセット、水回りとバーカウンターがありますね。実際に導入してみてどうですか。

僕にとっての屋上は、縁側。なんとなく集まって、たたずんで、話ができる場所です。仕事帰りにすぐ部屋に行くんじゃなくて、屋上へ上がってビールを飲んでから帰るというのはいいですよね。入居希望者がいらしたら、楽しい暮らしを実際に見て、聞いて、最後に屋上へ連れて来る。来た人はみんな感動しますね。屋上から街のロケーションが全て説明できるのも実用的です。

人工芝では、住人さんが自らヨガ教室を開催しているんです。僕が使い方を組み立ててしまうと、部屋づくりと一緒でダメだと思いました。最初からヨガ教室の希望があったので芝生を作ったんです。すると次に菜園をやりたいという声が上がってきました。屋上というのは生活動線上にないから、菜園があると毎日上がる理由ができるんですね。水やりに行ったり、収穫に行ったり。そこで誰かとバッタリ会って、一緒にご飯を食べてもいいかもしれない。だから僕は一切、水やりをしないですよ。パラソルも使った人が自分で畳んで片付けるというルールが自然にできました。

――今後、屋上というスペースをどのように活用していきたいですか。

住人さんがさらに自分の空間として使い始めたら面白いですね。このマンションは他に高い建物が周りにないので、音を比較的出しやすいというメリットがあります。バリトンサックス、ベース、パーカッションといった楽器の練習をしている方々がいますが、個々で楽器の練習をしてき人たちが、先日の花火大会のときにセッションをしたんですよ。

希望が多かったので、先日はBBQグリルを買いました。当日は前から住んでらしたシニア世代の住人さんもご自宅のカセットコンロでBBQをやられていたんですが、いつの間にか2組が一緒になっていたのは嬉しかったですね。

オーナーにとって屋上という場所は、事故が起きるといったリスクを考えがちですが、人が集まる賑やかで楽しい場所だったら、そうしたことが起きにくいはず。普段は施錠していますから、開いているのは住人さんがいるときだけです。

シェアの要素を賃貸マンションに組み込む。

ロイヤルアネックス  屋上ルーフガーデン
ロイヤルアネックス  屋上ルーフガーデン

――賃貸マンションのオーナーにアドバイスがあれば、ぜひ。

コミュニティの運営に携わるのは、手間がかかると思うかもしれませんが、住人さんとの接点が持てます。同じ目線に立って関係を築けると、結果的に大家さんが楽になるんですよ。ここを通らずして、空き物件の問題は解消されなかったと僕は考えています。楽しい場所を作るというのはとても大事。屋上を利用したことで住人同士のつながりが促進されたのは、間違いないです。屋上は、ふらっと集まるのに無理がない場所。誰もが平等で、好きな時間を過ごせます。1人でもいいし、みんなでもいい。今のマンションにはそうした場がないんですよね。

今後の社会は必ず高齢化してくるし、人も少なくなる。そのとき個人で何でも完結するんじゃなくて、その個人が便利になるために誰かと繋がる必要性が増えるはずです。屋上をはじめとした場所で住人に出会いをもたらすようなシェアハウス的な機能を持った物件がどんどん増えると思いますよ。

ロイヤルアネックス

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