屋上緑化実践事例・取材日記
特別養護老人ホーム・知的障害者更生施設「淀川暖気の苑」
第一回目となる屋上緑化取材日記では、地域密着型の屋上庭園を造られた 特別養護老人ホーム・知的障害者更生施設「淀川暖気の苑」を訪問させて頂きました。
「淀川暖気の苑」は、新幹線の関西玄関口となる新大阪駅から徒歩約15分、 隣にはJRの車両基地があり、鉄道好きの筆者にとってはとても居心地の良いところに感じられます。 見上げると新幹線がスピードを上げて走っていく音が聞こえ、 目を動かすと、「淀川暖気の苑」の7F屋上にある庭園に植えられている樹木も見ることが出来ます。
人工土壌「αベース」
芝生部:土壌厚120
中低木部:土壌厚250〜400
今ではすっかり周囲の風景に溶け込んでいる屋上庭園ですが、平成7年4月の開苑当初には存在していませんでした。施設を利用されている皆さんの要望から徐々に、庭園が欲しいという機運が高まっていったそうです。屋上庭園を造るに当っては、ボランティア、園芸コンサルタント、建築士、理学療法士の方々による約1年間の検討会が設けられ、夢は実現して行きました。しかし改修工事となるため、建物に負担を掛けないよう、軽量でかつ薄層土壌でも植物の生育が良い人工土壌「αベース」(左図)や自動潅水システムなど特殊な屋上緑化技術が利用されています。屋上庭園の面積は約300m2。一年を通して何かが咲いていたり、葉の色を変えていたりと変化があり、 果樹や草花などもたくさん植えられています。庭園の基本コンセプトは、以下の4点です。
- 心の安らぐ庭であること
- 車椅子が自由に出入りできること
- 障害をもつ人も草花を育て、楽しめる庭であること
- 子供、ボランティア、地域の人が活用できること
屋上庭園の実現にあたり、「大阪府みどりの基金」「中央競馬馬主社会福祉財団 阪神馬主協会」からの助成も受けているそうです。
「暖気の苑」全体図
(写真左):釜崎さん、(写真中央):時津さん、
(写真右):東邦レオ・小林
今回は、「淀川暖気の苑」に屋上庭園が出来る迄のお話や、現在の維持管理作業について 「社会福祉法人 暖気の会」の釜崎 仁さんと、 開苑から実際に維持管理を行なわれているボランティアグループ「ひまわり」代表の時津 忠臣さんにお話を伺いました。 インタビューは、東邦レオ株式会社 小林まき子です。