小林

宜しくお願いします。１０月７日にグランドオープンして、約１ヶ月が経過しました。連日たくさんの方々が、この「なんばパークス」に足を運ばれていますね。今回の人気に、屋上庭園が果たしている役割は大きいのでしょうか？

小森さん

そうですね。正直、予想以上のお客様にお越し頂きました。理由は様々かと思いますが、やはり緑の存在はとても大きいです。グランドオープンのＣＭでも「１０００年後のなんばの森を目指して」と緑の存在を全面に打ち出しています。

圧倒的な緑のボリュームが印象的な「なんばパークス」の屋上庭園

小林

この屋上庭園は、計画の当初から「なんばパークス」の１つの大きな柱として掲げられていたとお聞きしました。何故この場所に豊かな緑化空間をつくられたのですか？

小森さん

やはり「なんば」の街は雑然とした雰囲気で、ゆっくりと過ごせる場所が少ないというのが１つの理由でしょうか。また「なんば」だけでなく、大阪全体に緑が少ないことも問題として捉えられていました。このようなことから、新たな都市の提案として、緑化複合都市というコンセプトが生まれてきました。

小林

「なんば」と御社の関係、その背景にはどのような歴史があるのですか？

小森さん

もともと私どもは、約１２０年前につくられた大阪市の南と堺市を結ぶ阪堺鉄道が母体になっています。実は日本最古の私鉄なんですよ。私どもにとっては、お客様がなんば駅を基点に移動されることが多いものですから、いかにこの地を魅力的にするかということを考えてきました。昭和初期からは、駅ビルに高島屋さんが入られて運営を開始し、また昭和５０年代にはなんば駅を大改造し、地下になんばＣＩＴＹをつくっています。ある意味、１００年以上掛けて、この「なんば」の開発をしてきたことになりますね。

小林

長い期間をかけて、「なんば」の開発を進められてきたのですね。地域密着型の御社ならではと思うのですが、「なんばパークス」の屋上には、貸し菜園「アーバンファーム」も設けられていますね。都市の中心地に菜園を組み込むという企画は大変ユニークだと思います。このような企画は、いつ頃、どのようにして持ち上がってきたのですか？

駅直結、都市直結の会員制貸し農園「アーバンファーム」

小森さん

企画はオープンの１年以上前でしょうか。緑のことについては、社内の若手メンバーと緑化関係の方に集まって頂いて、ワークショップを開いています。それまでは、屋上の緑はあるけれども、どう活用していくかという議論がなかなか出来ていませんでした。そこで、約３ヵ月間みんなで毎週集まり、緑の様々な可能性について検討を行いました。その中で、新しいライフスタイル提案という意味でも、以前から出ていた「アーバンファーム」という企画は外せないということになりました。その後、需要調査を重ね最終的に採用されたという経緯があります。現在は屋上庭園の管理を行うパークスガーデン事務局のご協力を頂きながら、運営を進めています。

小林

地元に緑が根付き、それが地域の方々と生産という形で繋がっている。その緑の核を、「なんばパークス」が担っていることは大きいことですね。

小森さん

そうですね。「なんば」が拠点で、まわりに緑が広がっていけば、良いですね。緑を通じて、そして地元の方との交流がより生まれたらうれしいです。

小林

では最後に、このホームページをご覧頂いている読者の方に一言メッセージをお願いします。

小森さん

「なんばパークス」には、「大地を体験する街　〜シンキングアース」というコンセプトがあります。お買い物やお食事以外にも、環境を丸ごと楽しんで頂ける仕掛けを随所に盛り込んでいます。またホームページでは、その時期に見える花々も紹介していますので、現地でお気に入りの花を探してみてはいかがでしょうか？週末にはイベントも多数行っています。ぜひ一度足を運んでみて下さい。

小林

「なんばパークス」では、１２月２５日まで、クリスマスのイベントでイルミネーションが華やかに、かつ植物に優しく飾られていますね。

小森さん

はい。日々変わっていることを発見して頂けるような楽しい企画を今後も考えていきたいと思います。そして商業施設というだけでなく、街として「ええなぁ〜！」と感じて頂けるように頑張りたいですね。

小林

本日は、貴重なお話しをどうもありがとうございました。今後とも宜しくお願い致します。

（取材日2003年11月15日）